平成30年(わ)第50号 法人税法違反幇助及び税理士法違反被告事件

被告人

意見陳述

2026821

岡山地方裁判所 御中

被告人 禰屋町子

1 私は無罪です。私は30年以上、倉敷民主商工会の事務局員として働いてきました。倉敷民商は中小零細業者の営業と暮らしを守る団体です。民商の会員さんがお互いに助け合い、支え合うことができるように援助するのが事務局員の仕事です。私は仕事に誇りを持っています。

 民商では、中小業者の営業と暮らしを守るいろいろな活動をやっています。消費税に対する反対運動や、インボイス制度への抗議、新型コロナウイルスの際の公的支援の手続き援助などです。

 

2 会員の決算期におけるサポートもしてきました。業者が営業を維持し発展させるためには、経営者は、会員さんの自主記帳・自主計算・自主申告をかかげています。事務局員はそのサポートをしているのです。民商の会員さんは、皆自分の売上や経費を把握しています。私を含め、倉敷民商の事務局員は、会員さんが把握している営業に関する情報を、一般に使用されているパソコンソフトに入力するだけです。私と同じく税理士法違反で起訴された小原さん、須増さんがサポートした会員さんの税務申告に誤りはありませんでした。また、I建設以外に、私の税理士法違反に係わる会員さんの税務申告にも誤りはありませんでした。これは、私たちが、会員さんが把握している情報を信じて会計ソフトに入力しているからです。

 また、私は、会員さんみずからが自主記帳・自主計算・自主申告されることを尊重しています。その手助けをしているのであって、会員さんの判断を超えて、何らかの変更等をしたことはありません。ですから、私は税理士法について無罪です。

 倉敷民商は、これまで40年以上313日に重税反対全国統一行動を行っています。その日には倉敷税務署に一斉に申告書を提出に行く集団申告行動を行ってきました。しかし、過去に一度も警察や税務署から税理士法違反だと警告や注意を受けたことはありません。なのに、突然逮捕・起訴されたのです。

 

3 今回、自主記帳・自主計算・自主申告を推し進める民商に対する弾圧を正当化するための手段として、元倉敷民商会員であったI建設の脱税を私が手伝ったとの話をでっちあげました。しかし、私は、脱税などという違法な企てに関わったことは一度もありません。私は、本件で、倉敷民商事務局員としての通常の業務としてI建設の決算期のサポートをしただけです。I芙美子さんの指示もなく各勘定科目の金額を調整したことはありません。ですから、私は法人税法違反幇助についても無罪です。

 I芙美子さんは、I建設が個人経営であった頃から30年以上専ら会計を担当し、伝票や帳簿をつけてきた人です。なのに私だけが428日も勾留されました。一方でI建設夫妻は一度も逮捕も勾留もされませんでした。結局、I夫妻は私や倉敷民商を捜査機関に売る代わりに、自分たちだけは助かろうとしたとしか考えようがありません。

 

4 2018年に高裁で一審判決が破棄され岡山地裁に差し戻された後、56か月も公判は開かれませんでした。また、私は、自分の裁判であるにもかかわらず、三者協議への参加も認められていません。まるで蚊帳の外に置かれているみたいです。

 2023年になってやっと開かれた差戻審では、検察は脱税額を変更するという訴因変更をしました。脱税の主犯とされた人の裁判はとうの昔に終わっています。ほう助と言われている私の裁判で、肝心の脱税額を変更することができるのでしょうか。検察は(訴因変更の)9年前にきちんとすべきことをしていなかったことは明らかです。

 

5 今回の弾圧事件で私が失ったものは大きいです。私は、この身柄の拘束で人生の一部を奪われました。2014121日から428日間の身柄拘束を受け、9回目の保釈請求でようやく釈放されました。認めないと身体拘束を続けるのは人質司法そのものです。

 釈放から10日後、義理の母は、私を待っていたかのように亡くなりました。私は逮捕されるまで、母をずっと介護していました。もっともっと傍にいてあげたかったです。家族や友人との時間、失われたものを挙げれば切りがありません。

 

6 今日に至るまで、私が奪われた時間は12年以上です。広島高裁判決が査察官報告書の証拠能力を否定した後、検察の立証方針は何度も変わり、今に至るもまともな立証計画を立てることができていません。担当検事が異動しては、また「新たな証拠」を大量に申請してきましたが、行き当たりばったりではありませんか。木嶋査察官の2024年の証人尋問の時には、検察は期日の直前になって尋問事項を大幅に追加し、尋問時間も15分だと言っていたのを、180分に増やしたいと言ってきたのです。裁判所は一体、何度、検察に有罪立証のやり直しのチャンスを与えるのでしょうか。12年前に押収した段ボールの中身を、適当に小出ししているだけではありませんか。

 20243月に木嶋査察官は公判で「国税局は法人税法違反でも税理士法違反でも禰屋を告発していない」と証言しました。202512月にI芙美子さんは、私に「脱税を頼んでいない」と証言しました。この2人の証言だけでも私は完全に無罪だという証明になると思います。私を有罪にするだけの証拠を持っていないなら、検察は起訴を取り下げるべきです。裁判長は、検察に対して起訴を取り下げるように指示してください。

 そうでなくても、裁判所は公訴権濫用を理由に公訴棄却の判決を下すべきです。

 

7 もしまだ裁判を続けるのであれば、きちんと証拠に基づく公平公正な裁判を行って、私を無罪にしてください。

 私には、私や倉敷民商を支えてくれる全国各地からの声援があります。この12年間、倉敷民商弾圧事件に抗議する証明の数は合計827,085筆になりました。差戻後の私の事件に関する署名だけでも、408,600筆(202684日現在)も集まりました。全国43都道府県で支援団体ができています。今日も傍聴席に入りきらないほどの人が来てくれました。法廷の外にもたくさんいます。この裁判を見つめている人たちが80万人もいることを知っておいてください。全国の中小零細業者が民商を必要としているからこそ、大勢の人がこの事件をおかしいと思い、公正な裁判所の判断を求めているのです。

 私は、民商の活動と事務局員としての役割に誇りを持っています。絶対に間違ったことはしていません。私は無罪です。

以上です。