禰屋裁判について、手っ取り早く知るためのページです。詳しくは、その他のページや学習資料も読んで下さい。
◆ 禰屋裁判・倉敷民商弾圧事件
◆ 禰屋さんの容疑:法人税法違反幇助について
◆ 禰屋さんの容疑:税理士法違反について
◆ 国税局・検察の捜査の問題点
◆ 「参考人」ってどういうこと?
禰屋裁判って何?
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★禰屋裁判についての簡単な解説
Q1 禰屋裁判と倉敷民商事件:えん罪と民商弾圧
倉敷民商事件とは、倉敷民主商工会(倉敷民商)の事務局員3人が逮捕・起訴された事件です。禰屋さんはこの3人のうちの1人です。他の2人は税理士法違反容疑でした。禰屋さんには、税理士法違反の他に、当時民商会員だった建設会社の脱税を手伝ったという容疑もありました。
2013年(平成25年)5月に広島国税局査察部が大規模な強制捜索・押収を行い、多数の物品を押収しましたが、押収物には脱罪を疑われた建設会社のものだけでなく、民商事務局内にあった9台のコンピュータや、他の民商会員の個人情報なども含まれました。
2014年1月に禰屋さんが逮捕され、続いて2月に他の2人の事務局員も逮捕されました。2人の事務局員は184日間勾留され、禰屋さんは何と428日間も勾留されました。
禰屋さんは一審で有罪判決を受けましたが、2018年(平成30年)1月、控訴審(広島高裁岡山支部)はその有罪判決を破棄し、事件を岡山地裁に差し戻すという判決を出しました。
差し戻されたものの、査察官報告書だのみでろくな証拠の検討を行っていなかった岡山地検は、それから慌てて多量の押収物と取り組むことになり、差戻審が開かれるまで、5年半も費やされました。
2023年(令和5年)7月4日にようやく差戻審が開かれました。これまで(2025年6月末現在)、6回の公判が開かれ、検察側の証人6人の尋問が行われました。その中で、この事件がえん罪事件であることがより一層明らかになってきました。
事件は、禰屋さんの逮捕から数えても11年以上が経過しています。
この事件が税理士法違反幇助および税理士法違反の容疑で起訴されたこと自体が公訴権の濫用であり、民商を弾圧するためのものだったと、弁護団は主張しています。
2013年(平成25年)5月に広島国税局査察部が大規模な強制捜索・押収を行い、多数の物品を押収しましたが、押収物には脱罪を疑われた建設会社のものだけでなく、民商事務局内にあった9台のコンピュータや、他の民商会員の個人情報なども含まれました。
2014年1月に禰屋さんが逮捕され、続いて2月に他の2人の事務局員も逮捕されました。2人の事務局員は184日間勾留され、禰屋さんは何と428日間も勾留されました。
禰屋さんは一審で有罪判決を受けましたが、2018年(平成30年)1月、控訴審(広島高裁岡山支部)はその有罪判決を破棄し、事件を岡山地裁に差し戻すという判決を出しました。
差し戻されたものの、査察官報告書だのみでろくな証拠の検討を行っていなかった岡山地検は、それから慌てて多量の押収物と取り組むことになり、差戻審が開かれるまで、5年半も費やされました。
2023年(令和5年)7月4日にようやく差戻審が開かれました。これまで(2025年6月末現在)、6回の公判が開かれ、検察側の証人6人の尋問が行われました。その中で、この事件がえん罪事件であることがより一層明らかになってきました。
事件は、禰屋さんの逮捕から数えても11年以上が経過しています。
この事件が税理士法違反幇助および税理士法違反の容疑で起訴されたこと自体が公訴権の濫用であり、民商を弾圧するためのものだったと、弁護団は主張しています。
Q2 法人税法違反幇助ってどういうこと?
法人税法違反幇助というのは、法人が払うべき所得をごまかして脱税(法人税法違反)したのを手伝ったという意味です。
2013年当時、民商会員であったI建設株式会社が脱税の容疑を受けました。そして、禰屋さんが、その会社の売上の繰延べ、期末商品棚卸高の過少申告、原価の水増しなどを手伝ったとして起訴されました。
検察は、禰屋さんがI建設の会計処理に深く関与し、これらの不正な処理を主導または手助けしたと主張しているようです。
弁護側は、I建設の日常的な会計処理はB子が担当して行っており、禰屋さんは決算期のサポートに限られていたと主張しています。
しかも、禰屋さんはI建設が会計処理にしていたソフト「建設大臣」に関する知識はなく、操作もできませんでした。
一方で、I建設には税務業界の人が言う「たまり」という隠し財産がなく、仮に過少申告があったとしても、修正申告で済むレベルの悪質性は低い事案であり、刑事事件になるようなものではないのだから、法人税法違反自体が成立しないと弁護側は主張しています。仮に成立するにしても、禰屋さんには幇助の故意はなかったということです。
2013年当時、民商会員であったI建設株式会社が脱税の容疑を受けました。そして、禰屋さんが、その会社の売上の繰延べ、期末商品棚卸高の過少申告、原価の水増しなどを手伝ったとして起訴されました。
検察は、禰屋さんがI建設の会計処理に深く関与し、これらの不正な処理を主導または手助けしたと主張しているようです。
弁護側は、I建設の日常的な会計処理はB子が担当して行っており、禰屋さんは決算期のサポートに限られていたと主張しています。
しかも、禰屋さんはI建設が会計処理にしていたソフト「建設大臣」に関する知識はなく、操作もできませんでした。
一方で、I建設には税務業界の人が言う「たまり」という隠し財産がなく、仮に過少申告があったとしても、修正申告で済むレベルの悪質性は低い事案であり、刑事事件になるようなものではないのだから、法人税法違反自体が成立しないと弁護側は主張しています。仮に成立するにしても、禰屋さんには幇助の故意はなかったということです。
Q3 査察がI建設の売上を特定するために使った瑕疵担保責任保険って何?
瑕疵担保責任保険とは、新築住宅に不具合があった場合に補修等を行った事業者に保険金が支払われる制度です。保障期間は10年間。また、保険への加入に当たっては、住宅の工事中に検査が行われます。
この保険は、2009年(平成21年)以降の新築建物について法律によって義務化されました。
I建設の脱税を証明するために、査察官は瑕疵担保責任保険の保険開始日(付保日)を、会社の売上を計上するための基準日として使い、そこから年間の収入を計さするという方法をとりました。
第5回公判で証言した木嶋査察官は、自分の経験した案件の中ではこの保険を使用したのはこの事件だけであること、また、自分の経験外でも一般的な方法ではないことを認めています。
差戻審第2回および第3回公判に、瑕疵担保責任保険の保険会社から当時の部門責任者が検察側証人として出廷しました。建設が証拠として提出したI建設に関わる保険データについて説明しましたが、証人らはそれらのデータの抽出などの作業を自分で行ったものではないことも証言しました。このことは、それらのデータが記された書面を「伝聞例外」として扱うことはできないことを意味しています。
*「伝聞例外」については、別のページで扱う予定です。
瑕疵担保責任保険が義務化されたのは、2009年(平成21年)10月以降であり、それ以前の新築建物については、全て保険がかけられている訳ではないことも分かりました。
一方で、I建設の脱税容疑は平成21年度から24年度にかけてです。少なくとも平成21年度については、瑕疵担保責任保険を売上計上の基準日とすることには無理があるように思われます。
この保険は、2009年(平成21年)以降の新築建物について法律によって義務化されました。
I建設の脱税を証明するために、査察官は瑕疵担保責任保険の保険開始日(付保日)を、会社の売上を計上するための基準日として使い、そこから年間の収入を計さするという方法をとりました。
第5回公判で証言した木嶋査察官は、自分の経験した案件の中ではこの保険を使用したのはこの事件だけであること、また、自分の経験外でも一般的な方法ではないことを認めています。
差戻審第2回および第3回公判に、瑕疵担保責任保険の保険会社から当時の部門責任者が検察側証人として出廷しました。建設が証拠として提出したI建設に関わる保険データについて説明しましたが、証人らはそれらのデータの抽出などの作業を自分で行ったものではないことも証言しました。このことは、それらのデータが記された書面を「伝聞例外」として扱うことはできないことを意味しています。
*「伝聞例外」については、別のページで扱う予定です。
瑕疵担保責任保険が義務化されたのは、2009年(平成21年)10月以降であり、それ以前の新築建物については、全て保険がかけられている訳ではないことも分かりました。
一方で、I建設の脱税容疑は平成21年度から24年度にかけてです。少なくとも平成21年度については、瑕疵担保責任保険を売上計上の基準日とすることには無理があるように思われます。
Q4 I建設の売上計上基準は?
弁護団によれば、I建設では、追加工事を含めた「最終入出金日」を売上計上基準としていたとのことです。これは、工事が完成し、施主からの入金や下請業者への支払が全て完了した時点を売上計上のタイミングとする考え方です。この基準は、100%正確だとは言えないものの、会計を担当していたB子が継続的に使用しており、記帳漏れを防ぐという意味で合理性があるものだと弁護団は主張しています。
売上基準日とするのは、最終入出金日や新築建物の鍵を施主に引き渡した日などが一般的です。査察官は敢えて瑕疵担保責任保険の保険開始日を基準日としましたが、弁護団はそれが一般的ではないと指摘し、証人となった査察官もそれを認めています。
I建設では長年にわたり継続して、主収入出勤日を基準とした会計処理が行われており、I建設には所得を少なく見せようという意図はなく、脱税をしようという意図もなかったということです。
売上基準日とするのは、最終入出金日や新築建物の鍵を施主に引き渡した日などが一般的です。査察官は敢えて瑕疵担保責任保険の保険開始日を基準日としましたが、弁護団はそれが一般的ではないと指摘し、証人となった査察官もそれを認めています。
I建設では長年にわたり継続して、主収入出勤日を基準とした会計処理が行われており、I建設には所得を少なく見せようという意図はなく、脱税をしようという意図もなかったということです。
Q5 棚卸高の過少計上に禰屋さんが関わったと検察は言っているが
棚卸高とは、決算書の1つである損益計算書の中の「期末商品棚卸高」という項目のことです。これは、会計年度の期末日に売れ残っている在庫の金額です。
検察は、禰屋さんがI建設の期末商品棚卸高を過少に計上するのに関わったと主張しています。しかし、弁護団によれば、I建設の棚卸商品(在庫)は主に土地であり、その金額の計算は、土地購入資金の借入金残高を基準にB子が独自に行っており、禰屋さんはB子から伝えられた数字をメモ書きしたに過ぎないということです。
禰屋さんは決算期に数回の訪問をするだけで、それも急いで決算の作業を完結させるサポートをすることが急務という状況にいたわけですから、査察官が言うような面倒な棚卸高の調整などということは、全く不可能なことです。
また、I建設のB子は独自の基準をもって計算しており、それは継続的に一貫した基準であったことから示されるように、B子自身も棚卸高の過少計上の意図はなく、脱税の意図もなかったと弁護団は主張しています。
検察は、禰屋さんがI建設の期末商品棚卸高を過少に計上するのに関わったと主張しています。しかし、弁護団によれば、I建設の棚卸商品(在庫)は主に土地であり、その金額の計算は、土地購入資金の借入金残高を基準にB子が独自に行っており、禰屋さんはB子から伝えられた数字をメモ書きしたに過ぎないということです。
禰屋さんは決算期に数回の訪問をするだけで、それも急いで決算の作業を完結させるサポートをすることが急務という状況にいたわけですから、査察官が言うような面倒な棚卸高の調整などということは、全く不可能なことです。
また、I建設のB子は独自の基準をもって計算しており、それは継続的に一貫した基準であったことから示されるように、B子自身も棚卸高の過少計上の意図はなく、脱税の意図もなかったと弁護団は主張しています。