禰屋裁判について、手っ取り早く知るためのページです。詳しくは、その他のページや学習資料も読んで下さい。
◆ 禰屋裁判・倉敷民商弾圧事件
◆ 禰屋さんの容疑:法人税法違反幇助について
◆ 禰屋さんの容疑:税理士法違反について
◆ 国税局・検察の捜査の問題点
◆ 「参考人」ってどういうこと?
禰屋裁判って何?
HOME 禰屋裁判って何?
★禰屋裁判についての簡単な解説
Q1 禰屋裁判と倉敷民商事件:えん罪と民商弾圧
倉敷民商事件とは、倉敷民主商工会(倉敷民商)の事務局員3人が逮捕・起訴された事件です。禰屋さんはこの3人のうちの1人です。他の2人は税理士法違反容疑でした。禰屋さんには、税理士法違反の他に、当時民商会員だった建設会社の脱税を手伝ったという容疑もありました。
2013年(平成25年)5月に広島国税局査察部が大規模な強制捜索・押収を行い、多数の物品を押収しましたが、押収物には脱罪を疑われた建設会社のものだけでなく、民商事務局内にあった9台のコンピュータや、他の民商会員の個人情報なども含まれました。
2014年1月に禰屋さんが逮捕され、続いて2月に他の2人の事務局員も逮捕されました。2人の事務局員は184日間勾留され、禰屋さんは何と428日間も勾留されました。
禰屋さんは一審で有罪判決を受けましたが、2018年(平成30年)1月、控訴審(広島高裁岡山支部)はその有罪判決を破棄し、事件を岡山地裁に差し戻すという判決を出しました。
差し戻されたものの、査察官報告書だのみでろくな証拠の検討を行っていなかった岡山地検は、それから慌てて多量の押収物と取り組むことになり、差戻審が開かれるまで、5年半も費やされました。
2023年(令和5年)7月4日にようやく差戻審が開かれました。これまで(2025年6月末現在)、6回の公判が開かれ、検察側の証人6人の尋問が行われました。その中で、この事件がえん罪事件であることがより一層明らかになってきました。
事件は、禰屋さんの逮捕から数えても11年以上が経過しています。
この事件が税理士法違反幇助および税理士法違反の容疑で起訴されたこと自体が公訴権の濫用であり、民商を弾圧するためのものだったと、弁護団は主張しています。
2013年(平成25年)5月に広島国税局査察部が大規模な強制捜索・押収を行い、多数の物品を押収しましたが、押収物には脱罪を疑われた建設会社のものだけでなく、民商事務局内にあった9台のコンピュータや、他の民商会員の個人情報なども含まれました。
2014年1月に禰屋さんが逮捕され、続いて2月に他の2人の事務局員も逮捕されました。2人の事務局員は184日間勾留され、禰屋さんは何と428日間も勾留されました。
禰屋さんは一審で有罪判決を受けましたが、2018年(平成30年)1月、控訴審(広島高裁岡山支部)はその有罪判決を破棄し、事件を岡山地裁に差し戻すという判決を出しました。
差し戻されたものの、査察官報告書だのみでろくな証拠の検討を行っていなかった岡山地検は、それから慌てて多量の押収物と取り組むことになり、差戻審が開かれるまで、5年半も費やされました。
2023年(令和5年)7月4日にようやく差戻審が開かれました。これまで(2025年6月末現在)、6回の公判が開かれ、検察側の証人6人の尋問が行われました。その中で、この事件がえん罪事件であることがより一層明らかになってきました。
事件は、禰屋さんの逮捕から数えても11年以上が経過しています。
この事件が税理士法違反幇助および税理士法違反の容疑で起訴されたこと自体が公訴権の濫用であり、民商を弾圧するためのものだったと、弁護団は主張しています。
Q2 法人税法違反幇助ってどういうこと?
法人税法違反幇助というのは、法人が払うべき所得をごまかして脱税(法人税法違反)したのを手伝ったという意味です。
2013年当時、民商会員であったI建設株式会社が脱税の容疑を受けました。そして、禰屋さんが、その会社の売上の繰延べ、期末商品棚卸高の過少申告、原価の水増しなどを手伝ったとして起訴されました。
検察は、禰屋さんがI建設の会計処理に深く関与し、これらの不正な処理を主導または手助けしたと主張しているようです。
弁護側は、I建設の日常的な会計処理はB子が担当して行っており、禰屋さんは決算期のサポートに限られていたと主張しています。
しかも、禰屋さんはI建設が会計処理にしていたソフト「建設大臣」に関する知識はなく、操作もできませんでした。
一方で、I建設には税務業界の人が言う「たまり」という隠し財産がなく、仮に過少申告があったとしても、修正申告で済むレベルの悪質性は低い事案であり、刑事事件になるようなものではないのだから、法人税法違反自体が成立しないと弁護側は主張しています。仮に成立するにしても、禰屋さんには幇助の故意はなかったということです。
2013年当時、民商会員であったI建設株式会社が脱税の容疑を受けました。そして、禰屋さんが、その会社の売上の繰延べ、期末商品棚卸高の過少申告、原価の水増しなどを手伝ったとして起訴されました。
検察は、禰屋さんがI建設の会計処理に深く関与し、これらの不正な処理を主導または手助けしたと主張しているようです。
弁護側は、I建設の日常的な会計処理はB子が担当して行っており、禰屋さんは決算期のサポートに限られていたと主張しています。
しかも、禰屋さんはI建設が会計処理にしていたソフト「建設大臣」に関する知識はなく、操作もできませんでした。
一方で、I建設には税務業界の人が言う「たまり」という隠し財産がなく、仮に過少申告があったとしても、修正申告で済むレベルの悪質性は低い事案であり、刑事事件になるようなものではないのだから、法人税法違反自体が成立しないと弁護側は主張しています。仮に成立するにしても、禰屋さんには幇助の故意はなかったということです。
Q3 査察がI建設の売上を特定するために使った瑕疵担保責任保険って何?
瑕疵担保責任保険とは、新築住宅に不具合があった場合に補修等を行った事業者に保険金が支払われる制度です。保障期間は10年間。また、保険への加入に当たっては、住宅の工事中に検査が行われます。
この保険は、2009年(平成21年)以降の新築建物について法律によって義務化されました。
I建設の脱税を証明するために、査察官は瑕疵担保責任保険の保険開始日(付保日)を、会社の売上を計上するための基準日として使い、そこから年間の収入を計さするという方法をとりました。
第5回公判で証言した木嶋査察官は、自分の経験した案件の中ではこの保険を使用したのはこの事件だけであること、また、自分の経験外でも一般的な方法ではないことを認めています。
差戻審第2回および第3回公判に、瑕疵担保責任保険の保険会社から当時の部門責任者が検察側証人として出廷しました。建設が証拠として提出したI建設に関わる保険データについて説明しましたが、証人らはそれらのデータの抽出などの作業を自分で行ったものではないことも証言しました。このことは、それらのデータが記された書面を「伝聞例外」として扱うことはできないことを意味しています。
*「伝聞例外」については、別のページで扱う予定です。
瑕疵担保責任保険が義務化されたのは、2009年(平成21年)10月以降であり、それ以前の新築建物については、全て保険がかけられている訳ではないことも分かりました。
一方で、I建設の脱税容疑は平成21年度から24年度にかけてです。少なくとも平成21年度については、瑕疵担保責任保険を売上計上の基準日とすることには無理があるように思われます。
この保険は、2009年(平成21年)以降の新築建物について法律によって義務化されました。
I建設の脱税を証明するために、査察官は瑕疵担保責任保険の保険開始日(付保日)を、会社の売上を計上するための基準日として使い、そこから年間の収入を計さするという方法をとりました。
第5回公判で証言した木嶋査察官は、自分の経験した案件の中ではこの保険を使用したのはこの事件だけであること、また、自分の経験外でも一般的な方法ではないことを認めています。
差戻審第2回および第3回公判に、瑕疵担保責任保険の保険会社から当時の部門責任者が検察側証人として出廷しました。建設が証拠として提出したI建設に関わる保険データについて説明しましたが、証人らはそれらのデータの抽出などの作業を自分で行ったものではないことも証言しました。このことは、それらのデータが記された書面を「伝聞例外」として扱うことはできないことを意味しています。
*「伝聞例外」については、別のページで扱う予定です。
瑕疵担保責任保険が義務化されたのは、2009年(平成21年)10月以降であり、それ以前の新築建物については、全て保険がかけられている訳ではないことも分かりました。
一方で、I建設の脱税容疑は平成21年度から24年度にかけてです。少なくとも平成21年度については、瑕疵担保責任保険を売上計上の基準日とすることには無理があるように思われます。
Q4 I建設の売上計上基準は?
弁護団によれば、I建設では、追加工事を含めた「最終入出金日」を売上計上基準としていたとのことです。これは、工事が完成し、施主からの入金や下請業者への支払が全て完了した時点を売上計上のタイミングとする考え方です。この基準は、100%正確だとは言えないものの、会計を担当していたB子が継続的に使用しており、記帳漏れを防ぐという意味で合理性があるものだと弁護団は主張しています。
売上基準日とするのは、最終入出金日や新築建物の鍵を施主に引き渡した日などが一般的です。査察官は敢えて瑕疵担保責任保険の保険開始日を基準日としましたが、弁護団はそれが一般的ではないと指摘し、証人となった査察官もそれを認めています。
I建設では長年にわたり継続して、主収入出勤日を基準とした会計処理が行われており、I建設には所得を少なく見せようという意図はなく、脱税をしようという意図もなかったということです。
売上基準日とするのは、最終入出金日や新築建物の鍵を施主に引き渡した日などが一般的です。査察官は敢えて瑕疵担保責任保険の保険開始日を基準日としましたが、弁護団はそれが一般的ではないと指摘し、証人となった査察官もそれを認めています。
I建設では長年にわたり継続して、主収入出勤日を基準とした会計処理が行われており、I建設には所得を少なく見せようという意図はなく、脱税をしようという意図もなかったということです。
Q5 棚卸高の過少計上に禰屋さんが関わったと検察は言っているが
棚卸高とは、決算書の1つである損益計算書の中の「期末商品棚卸高」という項目のことです。これは、会計年度の期末日に売れ残っている在庫の金額です。
検察は、禰屋さんがI建設の期末商品棚卸高を過少に計上するのに関わったと主張しています。しかし、弁護団によれば、I建設の棚卸商品(在庫)は主に土地であり、その金額の計算は、土地購入資金の借入金残高を基準にB子が独自に行っており、禰屋さんはB子から伝えられた数字をメモ書きしたに過ぎないということです。
禰屋さんは決算期に数回の訪問をするだけで、それも急いで決算の作業を完結させるサポートをすることが急務という状況にいたわけですから、査察官が言うような面倒な棚卸高の調整などということは、全く不可能なことです。
また、I建設のB子は独自の基準をもって計算しており、それは継続的に一貫した基準であったことから示されるように、B子自身も棚卸高の過少計上の意図はなく、脱税の意図もなかったと弁護団は主張しています。
検察は、禰屋さんがI建設の期末商品棚卸高を過少に計上するのに関わったと主張しています。しかし、弁護団によれば、I建設の棚卸商品(在庫)は主に土地であり、その金額の計算は、土地購入資金の借入金残高を基準にB子が独自に行っており、禰屋さんはB子から伝えられた数字をメモ書きしたに過ぎないということです。
禰屋さんは決算期に数回の訪問をするだけで、それも急いで決算の作業を完結させるサポートをすることが急務という状況にいたわけですから、査察官が言うような面倒な棚卸高の調整などということは、全く不可能なことです。
また、I建設のB子は独自の基準をもって計算しており、それは継続的に一貫した基準であったことから示されるように、B子自身も棚卸高の過少計上の意図はなく、脱税の意図もなかったと弁護団は主張しています。
Q6 本当に税理士法違反なの?
税理士法は、税理士は「他人の求めに応じ、租税に関し」「税務代理・税務書類の作成・税務相談」の業務を行うと規定し、同法52条は、税理士の資格を持たない人が税理士業務を行うことを禁止しています。
検察は、I建設をはじめとする会員企業の確定申告書を作成したことをもって、税理士法違反にあたると主張しています。
税理士法違反に関する弁護団の主張は、税理士法が規制するのは「私利を図ってみだりに他人の『税務処理』に介入することを反復するような行為」に限られるべきであり、「社会生活上当然の相互扶助的協力をもって目すべき行為」は処罰の対象とされるべきではないというものです。倉敷民商の事務局員として会員の確定申告のサポートを行うことは、中小業者の互助組織としての正当な業務であり、会員と事務局員の関係は「他人」にはあたらないとして、税理士法違反は成立しないと主張しています。
検察は、I建設をはじめとする会員企業の確定申告書を作成したことをもって、税理士法違反にあたると主張しています。
税理士法違反に関する弁護団の主張は、税理士法が規制するのは「私利を図ってみだりに他人の『税務処理』に介入することを反復するような行為」に限られるべきであり、「社会生活上当然の相互扶助的協力をもって目すべき行為」は処罰の対象とされるべきではないというものです。倉敷民商の事務局員として会員の確定申告のサポートを行うことは、中小業者の互助組織としての正当な業務であり、会員と事務局員の関係は「他人」にはあたらないとして、税理士法違反は成立しないと主張しています。
Q7 税理士法に関する疑問点
税理士法違反容疑について、いくつかの疑問点があります。
1.税理士法2条の「他人の求めに応じ」というの「他人」に民商会員は相当するのか?
これについて、弁護団は民商は中小業者の互助組織であり、会員と事務局員との関係は、「他人の求めに応じ」という「他人」には当たらないというものです。
2.検察は、禰屋さんがI建設ほかの確定申告書を作成したというが、それぞれの申告書は各自、会社代表者が最終的に確認し、署名押印している。つまり、申告書作成の最終的な責任者は会員企業の代表者自身であることを表明しているのだから、その申告書を禰屋さんが作成した断言することは強引に過ぎるのではないか?
例えば、税理士が顧客の申告書を作成した場合には作成責任者として税理士の名前を挙げます。しかし、実際に「作成」しているのは、言い換えれば書類仕事をしているのは、その事務所で働く事務員さんたちです。税理士はその結果を監督し、確認し、署名押印しているから、「作成者」は税理士ということになると偉い税理士さんも言っています。
では、税務申告の本人が確認し、署名押印している確定申告書を禰屋さんが作成したといって禰屋さんを処罰することは、不公平というものではないですか。
3.禰屋さんの机上にあったコンピュータに会員企業の確定申告書のデータが残されていたからと言って、それを禰屋さんが作成したという証拠になるのか?
コンピュータもソフトも会員共有の財産です。事件当時、つまり平成20年頃には会計ソフトを自分で買うということが一般的ではなかったことを思い出して下さい。民商会員はそれぞれの所属する民商事務局に帳簿を持って出かけて、事務局にあるコンピュータとソフトを使って、会計帳簿や申告に添付しなければならない財務書類を作成していました。今でも、そのような会計処理や財務書類、申告書を民商事務局で作っている会員は、全国に多くいます。
ですから、禰屋さんの机上にあったからといって、そのコンピュータにある全てのデータやファイルを禰屋さんが作ったということにはなりません。
4.「税務書類」とは何を指すのか?
税理士法は税理士の独占業務の1つに「税務書類の作成」を挙げています。では、「税務書類」とは何なのでしょうか? 税務申告書には、貸借対照表、損益計算書、勘定科目内訳明細書など多くの書類の添付が義務付けられています。ですが、これらの添付書類は全て「財務書類」であり「税務書類」ではありません。『税務書類」とは一言で言えば、申告書の1枚だけです。
税理士法2条2項は、税理士が「税理士の名前を用いて、他人の求めに応じ、税理士業務に付随して財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他債務に関する事務を業として行うことができる」と規定しています。あくまで「できる」と言っているだけです。当然、税理士でなくてもできます。
一審判決では、そうした財務書類の作成まで税理士の仕事であるかのような印象を与える文章になっていました。
5.「業として」
「業として」とは、報酬を得ることを目的として反復継続して行うという意味です。税理士法53条には、この「業として」という文言がなく、営利を目的としないものまでも規制するものです。
この無償独占というのは、税の電子申請といった現状にもそぐわないだけでなく、独占禁止法違反、さらには憲法違反の疑いもあります。
1.税理士法2条の「他人の求めに応じ」というの「他人」に民商会員は相当するのか?
これについて、弁護団は民商は中小業者の互助組織であり、会員と事務局員との関係は、「他人の求めに応じ」という「他人」には当たらないというものです。
2.検察は、禰屋さんがI建設ほかの確定申告書を作成したというが、それぞれの申告書は各自、会社代表者が最終的に確認し、署名押印している。つまり、申告書作成の最終的な責任者は会員企業の代表者自身であることを表明しているのだから、その申告書を禰屋さんが作成した断言することは強引に過ぎるのではないか?
例えば、税理士が顧客の申告書を作成した場合には作成責任者として税理士の名前を挙げます。しかし、実際に「作成」しているのは、言い換えれば書類仕事をしているのは、その事務所で働く事務員さんたちです。税理士はその結果を監督し、確認し、署名押印しているから、「作成者」は税理士ということになると偉い税理士さんも言っています。
では、税務申告の本人が確認し、署名押印している確定申告書を禰屋さんが作成したといって禰屋さんを処罰することは、不公平というものではないですか。
3.禰屋さんの机上にあったコンピュータに会員企業の確定申告書のデータが残されていたからと言って、それを禰屋さんが作成したという証拠になるのか?
コンピュータもソフトも会員共有の財産です。事件当時、つまり平成20年頃には会計ソフトを自分で買うということが一般的ではなかったことを思い出して下さい。民商会員はそれぞれの所属する民商事務局に帳簿を持って出かけて、事務局にあるコンピュータとソフトを使って、会計帳簿や申告に添付しなければならない財務書類を作成していました。今でも、そのような会計処理や財務書類、申告書を民商事務局で作っている会員は、全国に多くいます。
ですから、禰屋さんの机上にあったからといって、そのコンピュータにある全てのデータやファイルを禰屋さんが作ったということにはなりません。
4.「税務書類」とは何を指すのか?
税理士法は税理士の独占業務の1つに「税務書類の作成」を挙げています。では、「税務書類」とは何なのでしょうか? 税務申告書には、貸借対照表、損益計算書、勘定科目内訳明細書など多くの書類の添付が義務付けられています。ですが、これらの添付書類は全て「財務書類」であり「税務書類」ではありません。『税務書類」とは一言で言えば、申告書の1枚だけです。
税理士法2条2項は、税理士が「税理士の名前を用いて、他人の求めに応じ、税理士業務に付随して財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他債務に関する事務を業として行うことができる」と規定しています。あくまで「できる」と言っているだけです。当然、税理士でなくてもできます。
一審判決では、そうした財務書類の作成まで税理士の仕事であるかのような印象を与える文章になっていました。
5.「業として」
「業として」とは、報酬を得ることを目的として反復継続して行うという意味です。税理士法53条には、この「業として」という文言がなく、営利を目的としないものまでも規制するものです。
この無償独占というのは、税の電子申請といった現状にもそぐわないだけでなく、独占禁止法違反、さらには憲法違反の疑いもあります。
Q8 民商って何をしているところ?
民商(民主商工会)は、中小業者の互助組織です。会員は会費を払い、自主記帳・自主計算・自主申告という民商全体の理念に基づいて、様々な活動を行っています。
全商連(全国商工団体連合会)の規約にも、「中小業者の営業と生活、諸権利を守り、社会的・経済的地位の向上をはかることを目的とする」とあります。
健康維持や親睦を目的としたレクリエーションや、憲法や様々な人権問題に関する学習会、電子会計帳簿に関する学習会・記帳会など、各地の民商でそれぞれがユニークな活動を展開しています。
そして、事務局員はそうした会員の活動を支援しています。
民商は、協同組合的な結社であり、その活動において行われる事務局員の支援・サポートは、単に私利を図って他人の税務処理に介入する行為とは異なり、税理士法が規制する「他人の求めに応じて」税務書類を作成する行為には当たらないと、弁護団は主張しています。
全商連(全国商工団体連合会)の規約にも、「中小業者の営業と生活、諸権利を守り、社会的・経済的地位の向上をはかることを目的とする」とあります。
健康維持や親睦を目的としたレクリエーションや、憲法や様々な人権問題に関する学習会、電子会計帳簿に関する学習会・記帳会など、各地の民商でそれぞれがユニークな活動を展開しています。
そして、事務局員はそうした会員の活動を支援しています。
民商は、協同組合的な結社であり、その活動において行われる事務局員の支援・サポートは、単に私利を図って他人の税務処理に介入する行為とは異なり、税理士法が規制する「他人の求めに応じて」税務書類を作成する行為には当たらないと、弁護団は主張しています。
Q9 不当な捜査と起訴とは?
この事件について、国税局査察部による捜査は、I建設の法人税法違反の嫌疑に限定されていたはずでした。ところが、査察部は倉敷民商の事務所からI建設とは関係のない多数の書類を押収しました。
法人税法違反の本犯の容疑であったI建設からは、パソコンの押収はされず、社長夫婦の身柄拘束も行わず、I建設に相当な便宜を図るものでした。一方、倉敷民商の事務所からは、捜査令状の範囲を大きく逸脱する民商の会員名簿や会議資料、I建設以外の会員の個人情報に加え、全てのパソコン(9台)まで押収して行きました。また、捜索を行っている間は外部との連絡を認めず、弁護士の立ち会いも認めませんでした。これに対し、弁護士が激しく抗議しましたが、査察官は全く聞く耳をもたなかったということです。
I建設に対して相当の便宜を図ってみせたのは、査察官が描くストーリーをI建設側に認めさせることで、禰屋さんらの起訴に持ち込もうという意図があったものと思われます。
こうした捜索・押収は中小業者の営業と生活を守る民商の活動を妨害する目的で行われた弾圧であると弁護団は主張しています。
さらに、検察は十分な証拠の検討を行わず、査察官報告書だけに頼って禰屋さんら倉敷民商事務局員を起訴したことは公訴権の濫用であり、また、裁判所が検察の証拠採用要求を認めたことが禰屋さんらの公平な裁判を受ける権利を侵害するものだと主張しています。
法人税法違反の本犯の容疑であったI建設からは、パソコンの押収はされず、社長夫婦の身柄拘束も行わず、I建設に相当な便宜を図るものでした。一方、倉敷民商の事務所からは、捜査令状の範囲を大きく逸脱する民商の会員名簿や会議資料、I建設以外の会員の個人情報に加え、全てのパソコン(9台)まで押収して行きました。また、捜索を行っている間は外部との連絡を認めず、弁護士の立ち会いも認めませんでした。これに対し、弁護士が激しく抗議しましたが、査察官は全く聞く耳をもたなかったということです。
I建設に対して相当の便宜を図ってみせたのは、査察官が描くストーリーをI建設側に認めさせることで、禰屋さんらの起訴に持ち込もうという意図があったものと思われます。
こうした捜索・押収は中小業者の営業と生活を守る民商の活動を妨害する目的で行われた弾圧であると弁護団は主張しています。
さらに、検察は十分な証拠の検討を行わず、査察官報告書だけに頼って禰屋さんら倉敷民商事務局員を起訴したことは公訴権の濫用であり、また、裁判所が検察の証拠採用要求を認めたことが禰屋さんらの公平な裁判を受ける権利を侵害するものだと主張しています。
Q10 「参考人」って、どういうこと?
木嶋査察官は、証人尋問の中で、広島国税局としては禰屋さんを法人税法違反でも税理士法違反でも「参考人」とみなしており、現在もそのままであると明確に証言しました。他の2人の倉敷民商事務局員についても同様に「参考人」にとどまっていると証言しています。
このことは、国税局では禰屋さんらを告発していないことを意味しています。つまり、国税局は禰屋さんらを有罪とみなしていなかったということです。
禰屋さんを、最初の逮捕容疑である法人税歩違反の共同正犯とすることには無理がありすぎました。また、幇助犯としても『利益」を得ていないことことからやはり無理があったということです。
弁護団は、国税局が告発しなかった真の理由は、告発すべき根拠や証拠が全く見つけられなかったことにあり、禰屋さんの幇助行為が全く成り立たないと判断したためであると主張しています。
国税局が禰屋さんを「参考人」と位置づけていることは、法人税法違反幇助についても税理士法違反についても禰屋さんが無罪であるという結論を国税局自らが認めているものとして、この事件の判断において非常に重要な意味を持つと弁護団は強調しています。
このことは、国税局では禰屋さんらを告発していないことを意味しています。つまり、国税局は禰屋さんらを有罪とみなしていなかったということです。
禰屋さんを、最初の逮捕容疑である法人税歩違反の共同正犯とすることには無理がありすぎました。また、幇助犯としても『利益」を得ていないことことからやはり無理があったということです。
弁護団は、国税局が告発しなかった真の理由は、告発すべき根拠や証拠が全く見つけられなかったことにあり、禰屋さんの幇助行為が全く成り立たないと判断したためであると主張しています。
国税局が禰屋さんを「参考人」と位置づけていることは、法人税法違反幇助についても税理士法違反についても禰屋さんが無罪であるという結論を国税局自らが認めているものとして、この事件の判断において非常に重要な意味を持つと弁護団は強調しています。